Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「ウム」

「すると、伊兵衛は居ません。あっしは腹が減っていました、飯が食いてエなと中に這入って見ると、炬燵のそばに飲みかけの酒がありました。有難いと思って、それを飲んで炬燵の中へ寝てしまいました、ヘイ、ずいぶん永いこと寝ちまったんで……」

「ウム……」

「話し声に目がさめると、隣の部屋で、伊兵衛と易者の馬春堂がコソコソ話し合っています」

「ふム……」

「とネ、親分、馬春堂のやつがでッかい声で――伊兵衛! こいつあ大変だぞ! えらい物が手に這入ったもんだ――と言っているんで……オヤ、と障子の穴へ目を押しつけてのぞいて見ると、馬春堂と伊兵衛さんが、こればかしの、四角な箱をあけて、ウームと腕ぐみをして考えこんでいるあんばいでした」

「箱を開けて?」

「へい、そのそばに、女の仮面が畳の上に置いてありました」

梁から落ちる微塵ごみが、忍法手灯に、チリと燃えて、土蔵の中の夜は更けてゆきます。

その外では。

中から用意の心張棒が掛っているということは知らないので、今は、お蝶と龍平、あたかも錠前の呪縛にかかったように、開かねば開かぬほど意地になって、蔵の戸前を引いてみたり揺すぶッてみたり、苦しみぬいている様子。