Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
けれど……そこが開いたらどうだろう?
むしろ、開かない戸こそ、幸いだったのではないでしょうか。
率八は、それからまた、
「馬春堂と伊兵衛さんが、仮面を置いて、何を考えているのかしら? ……と、あっしも変に思ったので、障子の穴から見ているッてえと……」
と、日本左衛門へ向って、話しつづける。
「なアに、二人が思案し合っているのは、その女の仮面じゃあなくッて、面箱の底から出て来た、虫蝕本の方なんで。……生憎と、こちとらには文字が分りませんが、なんでも易者の馬春堂がそいつを口のうちに読んで、ウーム、こりゃあ尾州家で御刑罪にあったばてれんの調べ書だとか何とか言っておりやした」
「尾州家の……おっ、それが面箱か?」
「へい」
「合点がいかねえ!」
と日本左衛門は、大長持に腰かけて抱えていた大刀のこじりを、肘と共にトンと突いて、
「尾州家の面箱といえば、出目洞白の鬼女面――そういくつも世間にころがっているはずはねえ。ありゃあ、おれが市ヶ谷の上屋敷から持ち出して故意と市ではたいた品物、それも、ほンの意趣返しの悪戯にしたことなので、相良金吾という家来が仲間にやつして入り込んで来たのも万々承知の上で、それへ売って返してやったのを……ふウむ、伊兵衛の手に渡っているたア初耳だ」