Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

一陣の野分が吹いて過ぎる、――ザアッと満目の芒が白い波を寝かす。

「ほい、しまった」

ところで切支丹族の三人づれ、岡を降りて来たところで、ホイと言ったのは梅市です。

「どうかしたのか?」

「忘れ物をしやがった」

「だれが」

「この頓馬が……」と自分の頭をたたきました。

「なんだい品物は」

「腰に差していた煙草入れ、丹波革の安物とはいいながら、中には大事なものがはいっている。あいつを忘れて来ちゃあ大変だ」

「そんな中へ、入れておくからわるいじゃないか」

「さっき鍬を持った時、邪魔になるので腰から抜いて、人形箱のそばへほうッて置いたのが不覚さ。実はあの中に、ヨハン様から渡された王庁の文の写しがはいっているんで……」

「そいつはいけない。あんな物が人手に渡ると一大事だ。おれ達も一緒に行ってさがしてやろう」

「いや、置いた場所はわかっているから、おぬしたちは、暫くここで待っていてくれ。すぐ一走りで戻って来る」

そこで梅市が道を取って返そうとして、丁二郎安蔵のふたりに別れかけた時です。

どんと、何物かに肩を押されて、あっと安蔵がよろけたかと思いますと、ほかの者をも突き飛ばすようにして、ひとりの小僧が目の前を駆け抜けてゆく。