Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「生息気なことをいうな、小僧のくせにして」

「いいかい、ほんとに、お嬢様に怪我でもさせると、ちゃんだッて後でおいらが怒りつけるぜ」

「ど、どこへ行くんだ」

「知れているじゃねえか。おりんさんを助けによ!」

「ばかッ。あぶねえぞ」

「くそうッ、切支丹族のやつなんかに、高麗村の者がおそれていてたまるものか。ちゃんは臆病だから、尻ッ尾をまいて逃げて来たんだろう」

「このばか! このばか! 命知らず――」

半五郎の目でみれば、どうしたって、まだ乳の香のうせない子供でしかありません。彼のような無頼者のおやじでも、その子が危難へ向って挺身してゆくのを見ると、狂気のような声を出さずにはいられない。

だが、次郎は耳もかしません。野槍をすぐッて駆け出しました。彼が真に怒る時には、般若の形相も怒りをおび、その赤ッちゃけた童髪はうしろに逆立って、さらぬだに凄い洞白の神作に、生ける魂をぶちこむのが常です。

秋の蚊帳

向う見ずな次郎の血相を心配して半五郎があとを追いかけましたから、月江もそこに残ってはいられない。

彼女もつづいて駆けました。

「ばかよ。ばか野郎よ」

と罵りながら、次郎のかるはずみを止めにゆく半五郎の声も、いつか聞こえなくなりますと、三人の影は一町ぐらいな間隔を置いて、ただ駆けんがために駆けているようにしか見えません。