Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「はははは。そいつは、あやまるよ」
と雲霧が笑えば、かごかきや秦野屋も、一緒になって笑いました。
ところが、次第にそこへ近づいて行くと、一種異様なにおいが人々の鼻にさとられて来ました。猟師だろうか、人家だろうか、さまざまに空想して来た煙も、誰の想像もあたッておりません。
白樺の樹によりかかりながら、車座になって、焚火をしていたのは十人ばかりの男どもです。火にかざしている手や、その着ている衣服が、どれもこれも、黒光りなよごれかたをしていて、鼻をうつような異臭はまさしくその一団から発している。
かごと旅人が、そこへ通りかかるのを見うけると、焚火のまわりにいた連中は、一様に首をこッちへ向けて、
「ご苦労さんでござんす」
「えらいこッてごす」
「ご苦労さんで……」
ひとりひとりあたまを下げて、長途の山の旅をねぎらうのでありました。まったく、人気のない山の中でふと出会った土地の者に、このあいさつをうける時ほど、郷土人のあたたかみと親しみを感じる場合はありません。
四ツ目屋、秦野屋、雲霧なども、人間の群れ争う都会のなかへはいると、それぞれものすごい兇賊と化しますが、さすがに、こんな平和な人たちを見ると、自分の暗い影も忘れて、