Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
あなたは、ころびばてれんの娘だなどと、身をいやしんでおいでになるが、羅馬王家の立派なお血すじなのです。自覚なさいませ。自己の尊い血を、お悟りなさいませ」
「だってねえ、ヨハンや」
「はい、はい」
「わたし、そんな貴族の血をうけた娘だなどとは、どうしても、思ええないんだもの……この自分が」
「どうしてな? ……ヨハンには分りませぬが」
「わたしは、悪い事が好きなんだよ」
「美しい悪魔――二官様もそれを苦にして死なれました」
「お父さんの事を言ッちゃあ嫌よ」
お蝶は打つ真似をしましたが、その目はたまらなく悲しんでいます。そして、明りの届かない部屋の隅に、亡父が立ってやしないかなどと、今夜はしきりに責められている。
「あー、そういうお心が尊いものです。いくら悪事がおすきでも、きっと、救われるに違いありません」
「生れつきの性質は、直らないというじゃないか。私は、お前みたいな窮屈な人が嫌いで、たとえて言えば、日本左衛門みたいな、あんな人間が好きでしょうがないんだよ」
「怖ろしいことを仰っしゃいます。あれは盗賊の巨頭ではございませんか。そして、夜光の短刀を狙っている、お姫様や、ヨハンの強敵ではございませんか」