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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme

Aozora Bunko

と、つけ加えた。

それと共に、御堂の扉が、そろりと開いた。洞窟のような寒さと薄暗い灯揺ぎの中に、一体の観世音が天井へつかえるばかり高々と端坐していた。

けれど、一足ここに入ると、誰もすぐ遠い昔の自身を思わずにいられない甘い匂いにくるまれた。それは人肌の温かさすら感じられる母乳のにおいであった。

「やっとお寝りになりましたね」

ちょうど観世音の裳のあたりに、台座を屏風のようにして、二枚のむしろが板床に展べてある。その一枚へ坐り直した女性と対いあって、光厳は、その人の懐をのぞくようにして云った。

「ええ。よいあんばいに」

常磐も、わが手に抱いている寝顔を見て、嘆息のように呟いた。

明けて二歳になったばかりの牛若である。たださえ癇のつよい子なのに、年暮の戦から夜も易々寝たことはなく、食物も喰べたり喰べなかったりなので、母乳はすっかり出なくなっていた。それに衾もない夜ごとの寒さである。泣く子が無理ではないと思う。

「ああ、和子たちはまた、他愛ものう、よくお寝みでございますなあ」

光厳は、云い出す急な用向きも忘れて、もう一枚の莚をながめ、心の底から嘆くようにいった。