Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
前の夜から眠りもせず、まだ風雨さえひどかった暗いうちに、三里、四里も距てている諸所の在所から馳せつけて来た面々は、そう聞くと、一時は面に色を作して、頼朝、時政のうしろ姿を見送っていたが――次の一瞬には、気抜けしたように、
「ままよ」
「睡くなった」
「その間に、寝ろと御意か」
などと呟き合いながら、堂を中心として、思い思いに、自由な姿にくずれてしまった。
頼朝も、時政も、いったん館へもどって、休息していたが、その日の午の頃まで、お互いに無言のうちに、
(まだか? ……。佐々木の兄弟どもは、まだ来おらぬか)
と、待ちかねていた。
午も過ぎる。
その佐々木の兄弟はおろか、不参の者も、一人として来なかった。――馳せつけて来るほどの者は、当然、時刻もたがえず、すでに来ていた筈であった。
「どう召さるな」
時政は、頼朝へ、最後の肚を質すように云い出した。
「あれへ集まっただけの人数を以て、ともかく、決然とやりますかな。到着の人員は八十五騎という。……たんだ八十五騎じゃが」
「元より最初から烏合の数は望まぬところ。一人だに、一念神仏に通じれば、世をも動かそう。鉄石の心をもつ、武士の八十余騎もおれば、何事か貫けぬことやあろう」