Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
その容子を、頼朝は、じろと冷たい眼で見ながら、義経へは何も問わずに、
「乳母。待て」
と、呼びとめた。
乳母――と初めてその時呼んだのである。そして、予め肚の中では、最初からそういうつもりであったかのように、
「こらえられぬところではあるが、先祖の功に免じて、このたびだけは、経俊の一命、助けおいてとらせる。……倅めに、そなたからもよくよく云い聞かせておくがよかろうぞ」
と、云った。
腰がぬけたように、老母は、大地に平たくなって、座を立つ頼朝のすがたを拝んでいた。義経も手をついたままでいた。しかし義経の感情はなお感情のまま胸のすみに澱んでいた。
新府繁昌記
一
その年の鎌倉は、石曳き謡や手斧の音に暮れ、初春も手斧のひびきや石工の謡から明け初めた。――鎌倉へ、鎌倉へ。
この相言葉は、もう軍の用語から転じて、民間のものになっていた。
「鎌倉へ行けば仕事がある」
東国から北のほうまで、国々の往来で、旅の者が、旅の者に、
「何処へ?」
と行く先をたずねれば、
「鎌倉へ」
と、極まっていう。
妻子を連れたり、弟子たちを従えたり、道具を担ったりした鍛冶、漆工、指物師、大工、屋根葺き、機織娘、彫刻師、染工などから、馬の群れを曳いた牧の者、僧の群れをつれた寺院の徒、女の群れをつれてゆく何商売か知れない人間たちまでが――相模の新府をさし