Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
「あなた様にも」
「む、む。……」と、義経は口のあたりで微笑しながら、
「わしなどはまだ乳くさい子どもだからな。育つばかりだよ。どうだ、大きくなったろう」
「お見ちがえ申す程でござります。しかしお恨みにぞんじます」
「何をの……」
「平泉のお館を脱けて、一図にお急ぎ遊ばしたお心はよくわかっておりますが、なぜ一言、吉次にお洩らし下さいませんでしたか。吉次如きは、鞍馬の後は、もはやお役に立たぬ人間と、お見限りをうけたのかと、後では、ひがんでおりました」
「はははは。そうか」
とのみで、義経は、べつに云いわけもしなかった。
「愚痴でした。年は老らないつもりでも、つい、いけませんな。お聞きながしを。……いや、そんなつまらぬ事に時をうつしては勿体ない。きょうこそは、ぜひ一つ、あなたのお胸に、入れておいていただきたいことがございますので」
吉次は、鳥の羽音に、眼をそらした。寿福寺の丹塗の伽藍が、木々の彼方に紅葉のように見えた。
四
吉次は、すり寄って、じっと、相手の面を見つめたが、その義経は、
「……何か?」
とも訊ねてくれない。
むしろ放心したように前の泉を見つめていた。
吉次は、その様子を見て、ふと瞼を熱くした。