Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのものがたり
遠野物語
柳田 国男
Lesen Sie 遠野物語 (とおのものがたり) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.063 Zeichen · 79 Bildschirme
五五
これを求めて行くに岩の陰に家あり。奥の方に美しき娘機を織りていたり。そのハタシに彼の斧は立てかけてありたり。これを返したまわらんという時、振り返りたる女の顔を見れば、二三年前に身まかりたる我が主人の娘なり。斧は返すべければ我がこの所にあることを人にいうな。その礼としてはその方身上良くなり、奉公をせずともすむようにして遣らんといいたり。そのためなるか否かは知らず、その後胴引などいう博奕に不思議に勝ち続けて金溜り、ほどなく奉公をやめ家に引き込みて中ぐらいの農民になりたれど、この男は疾くに物忘れして、この娘のいいしことも心づかずしてありしに、或る日同じ淵の辺を過ぎて町へ行くとて、ふと前の事を思い出し、伴なえる者に以前かかることありきと語りしかば、やがてその噂は近郷に伝わりぬ。その頃より男は家産再び傾き、また昔の主人に奉公して年を経たり。家の主人は何と思いしにや、その淵に何荷ともなく熱湯を注ぎ入れなどしたりしが、何の効もなかりしとのことなり。
○下閉伊郡川井村大字川井、川井はもちろん川合の義なるべし。
五五 川には川童多く住めり。猿ヶ石川ことに多し。松崎村の川端の家にて、二代まで続けて川童の子を孕みたる者あり。