Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とおのものがたり

遠野物語

柳田 国男

Lesen Sie 遠野物語 (とおのものがたり) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.063 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

九二

事のさまより真の人間にてはあるまじと思いながら、鳥御前はひょうきんな人なれば戯れて遣らんとて腰なる切刃を抜き、打ちかかるようにしたれば、その色赭き男は足を挙げて蹴りたるかと思いしが、たちまちに前後を知らず。連なる男はこれを探しまわりて谷底に気絶してあるを見つけ、介抱して家に帰りたれば、鳥御前は今日の一部始終を話し、かかる事は今までに更になきことなり。おのれはこのために死ぬかも知れず、ほかの者には誰にもいうなと語り、三日ほどの間病みて身まかりたり。家の者あまりにその死にようの不思議なればとて、山臥のケンコウ院というに相談せしに、その答えには、山の神たちの遊べるところを邪魔したる故、その祟をうけて死したるなりといえり。この人は伊能先生なども知合なりき。今より十余年前の事なり。

九二 昨年のことなり。土淵村の里の子十四五人にて早池峯に遊びに行き、はからず夕方近くなりたれば、急ぎて山を下り麓近くなるころ、丈の高き男の下より急ぎ足に昇りくるに逢えり。色は黒く眼はきらきらとして、肩には麻かと思わるる古き浅葱色の風呂敷にて小さき包を負いたり。恐ろしかりしかども子供の中の一人、どこへ行くかと此方より声を掛けたるに、小国さ行くと答う。