Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
「なるほど」
「万兵衛は、父と若いとき張合った母を横取りするのが目当でした。私の口からは申されませんが、三年前、母は万兵衛の罠に落ちて、とうとう自殺してしまいました」
「…………」
「それにも懲りずに、今度は私を奉公によこせと言う難題です。――証文が入ってるので、父にもどうにもならず、去年の暮からこの家へ行儀見習という名目で来ておりますが、万兵衛は、間がな隙がな、私を――」
「よし、解った。手籠めにされそうになって、ツイ剃刀で斬ったのだろう」
「いえ敵を討ちたい心持で一パイでした」
「焼いたのは証文か」
「え、――それから母の手紙」
「…………」
「親分さん、私を縛って下さい」
お藤はもう泣いてはいませんでした。観念の顔を挙げると月がその美玉の清らかさを照して、平次の眼にも神々しくさえ見えます。
「俺には縛れない、――俺が黙っていさえすれば、これは江戸中の御用聞が来て洗い立てても解る道理はない。――いいか、お藤、俺の言う事を聴くのだぞ。こんな家に一刻もいてはならぬ。子分の八五郎に送らせるから、この足ですぐ父親のところへ帰れ。御用聞冥利に、お前を助けてやる」
「…………」