Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
「親分、石原町の吾妻屋殺しはどうなったんです」
「心配するな、もう解ったよ」
「下手人は」
「これだよ」
平次が袂とから取出したのは、眼の覚めるような紅鹿の子の扱帯。
「その扱帯が下手人?」
八五郎の驚きようはありません。
「そうだよ。――お前には解るまい、ざっと話そう。力松が下手人なら、偽の証拠をうんと拵えておくよ。庭へ梯子を持出すとか、二階の雨戸を外しておくとか。――そんな事でもしなきゃ、疑いは真っ向から自分へ来るじゃないか」
「…………」
「文次郎はあの晩東窓の下の空地でお喜多と逢引していたんだ。どこに居たか言われなかったはずさ。あの男は好きな女の父親を殺すほどの悪人じゃない。――それに蜘蛛の巣は夕方明るいうち張り始める。八方から見通しの二階の東窓へ、蜘蛛が巣を張り始める前に人間が忍び込むなどは思いも寄らない。新吉兄哥は考えすぎたのだよ」
「すると」
「下手人はこの扱帯さ。――吾妻屋の金右衛門はさんざん人を泣かせた酬いで、年を取って気が弱くなったんだ。『誰かに殺されそうだ』と言いつづけていたのは、正気の沙汰ではないよ。――その上倅の勘当や女房の病死ですっかりこの世がいやになり娘のお喜多が何かのはずみで忘れて行った扱帯を見ると、この燃えるような美しい鹿の子絞りに引かれて、フラフラと死ぬ気になった。