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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme

Aozora Bunko

生暖かい春の宵、朧ながら屋並の上には月も出ております。

ポクポクと影を引く老人の後に跟いて、平次と八五郎は河岸っ端まで歩きました。

「親分さん、よく気が付きましたね」

「それは稼業だもの」

迎えるように立ち止まって淋しく笑う喜三郎、平次はその影の前の捨石に腰をおろしました。

「私はけさとんだことを申上げてしまいました。――賀奈女を殺した者を見たなんて、あれはみんな嘘でございますよ」

「…………」

「私はあのとき火の見櫓から降りていました。何にも見たわけじゃございません」

喜三郎老人の話はとんでもないものでしたが、それを聴く平次は、別に驚く様子もありません。

「そうだろう、お前の言うことはあんまり明瞭すぎたよ。いくら眼がよくったって、火の見の上から鏡の中の賀奈女の顔がニッコリ笑ったのが見えるはずもないし、頬冠りの男の顔の色まで判るはずはない」

「私は伊勢屋が憎かったのでございます。あんな良い娘を悶え死にさせた婿の新兵衛が憎くてたまらなかったのでございます」

「お前は伊勢屋を賀奈女殺しの罪に陥したら死んだ娘のお今が歎くだろうと気が付かなかったのか。――お前の娘ながら、伊勢屋の女房は貞女だった」