Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
「誰も外へ出たものはないな」
「ヘエ」
平次は細かく店中の者の不在証明を調べて行くのです。
「お辰さんは?」
「奥でお仕事をしておりました」
これも金次の証明ですが、手代、小僧、誰の顔にも、それに反対の色はありません。
「岩根さん――とか言いましたね。旦那は?」
「裏の四畳半――これは私の部屋だ。そこへ潜って、早寝をしておりましたよ」
居候浪人――岩根源左衛門は多勢の後ろから、首だけヒョロ高い身体を浮かしました、恐ろしく砕けた二本差です。
「お部屋へ引取った時刻は?」
「酉刻半(七時)――いや戌刻(八時)近かったかな。小僧の三吉がよく知っているよ」
その部屋から、そっと抜出せるかどうか、それはいずれ後刻実地を調べる外はありません。
「ところで、この煙草入は誰の物だ」
平次はズラリと並んだ越前屋の奉公人の鼻先へ、何の技巧もなく死体の下にあった印伝の煙草入をズイと出したのです。
「私の品でございますが」
金次の答えも、それに劣らず無造作でした。
「これが死骸の下から出て来たのはどういうわけだ」
「…………」
恐ろしい緘黙、重っ苦しい空気の中で、越前屋の奉公人たちは、お互の顔をそっと盗み見ております。