Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme

Aozora Bunko

現場を掻き廻さないうちに、一と通り見ておきたい」

薄々京屋の様子を捜っていた平次は、この殺しの奥に、容易ならぬものが潜んでいると睨んだのも無理のないことでした。

米沢町の京屋へ着いたのは、まだ辰刻(午前八時)少し過ぎ、家の中はシーンと鎮まり返っておりますが、その静寂のうちに、鬱陶しい不安と、恐ろしい疑惑が孕んでいることを、物馴れた平次は嗅ぎ出しておりました。

支配人の久助という五十男に案内させて、主人の死骸を置いてあるという、奥の一と間に通りましたが、その途々、廊下にも、庭先にも、戸棚の上にも、床の間にも、金仏、木像、古いの、新しいの、釈迦も観音も薬師も弁財天も、大小あらゆる仏像が置いてあるのは、この道に興味のない平次やガラッ八にも、一種鬼気の迫るものをさえ感じさせます。

集められた仏像は、――眼に触れる限りでは――高雅雄麗な推古仏は愚かなこと、唐土、朝鮮の古いのや、奈良、平安朝の芸術品、鎌倉期の雄健なものさえ一つなく、あるものは徳川期に入ってから、悪達者な職人の作った、低俗愚劣な作品ばかりで、金箔の厚いのと、容姿の艶麗な外には取柄のない仏像ばかり。