Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans

Aozora Bunko

「ゆるしなきうちは、草鞋を解いて家に入ることは相成らぬ。用談は中門の墻を隔てて聞くであろうから、奥庭の境まで廻れ――とのお言葉でござりまする」

「かしこまってござる」

宗矩は、父の意に従って、解きかけた草鞋の緒を結び直し、庭づたいに、中門のほうへ廻って行った。

中門の扉は、片扉だけ開いていた。石舟斎は、その内側に立っていた。兵庫のことばでは、お変りもないといったが、四年ぶりに仰いだ宗矩の眼には、世にいう寄る年波の変り方が、余りにもはっきり父のすがたに見られた。

彼は、一目見ると、胸がせまって、あやうくも溢れかけるものを瞼に抑えながら、門の外に坐って一礼した。

「……宗矩でございまする。おわかれ申して後は、侍しては大御所様の御陣に、平素、仕えては江戸表の秀忠様のお側に。――以後、御奉公に明け暮れもなく過ぎておりましたので、ついぞ御膝下へ来て孝養もいたしませず、御ぶさたの罪、おゆるし下されますように」

彼が、そう云えば云うほど、眼にも見えるほど、老父の面は不機嫌な色になった。いや、巌へ刻んだ何人かの巨像のように、峻厳そのものを示すだけで、宗矩が胸にこみあげているような父子の温情らしいものは、その白い眉毛の一すじも見えなかった。