Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans

Aozora Bunko

三

武蔵の大きな足痕を、お杉婆は後から見た。

足痕さえ憎かった。

もう橋の袂までは、一町か、半町。

「――武蔵っ!」

お杉はさけんだ。喉の痰を切ったような声である。両手に拳をこしらえて、首を前へ突き出しながら駈け寄って行った。

三

「そこへ行く人非人よッ、耳は持たぬのかっ」

当然、武蔵にそれが聞えていないわけはない。

老いさらぼうた老婆とはいえ、死を覚悟した跫音もすさまじい。

背を向けたまま、武蔵は歩いていたが、

(はて、困ったもの)

どうしたものかの思案が咄嗟に出なかったのである。

その間に、

「やれ、お待ちやれ」

婆は、武蔵の前へ廻った。

前へ廻ってからお杉婆は、尖った肩や薄い肋骨を波のように喘がせて、喘息でも起った時のように、しばらく、口に唾を溜めて息を休ませているのだった。

やむを得ない顔して、武蔵も遂にことばをかけた。

「おお、本位田のおばば殿か、めずらしいところで」

「ても、厚顔ましい。めずらしやとは、わしの方でいうことば。清水の三年坂では、まんまと、討ち洩らしたが、きょうこそ、その素首は、この婆がもろうたぞ」

軍鶏のように細ッこい皺首が、背の高い武蔵へ向って伸び上がっていうのだった。