Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

天井に居たのは良雄ばかりではなかった。良雄が気絶して仰向きに横わって居る真上には、屋根裏の梁に細帯をかけて、可憐のあさ子が、物凄い顔をして縊死を遂げて居たのである。

人々はとりあえず良雄をかつぎ出した。良雄は医師の手当によって間もなく息を吹き返したが、たおれる拍子に、手に持って居た蝋燭が良雄の顔に落ちかかり、灯が運悪く良雄の右の眼を焼いて消えたので、右眼が頻りに痛み出した。

花嫁は高熱に苦しみ、花婿は右眼の劇烈な疼痛に苦しみ、結婚式はさんざんな破目に終った。人々はただもう、あさ子の執念の恐ろしさに戦慄するばかりであった。

然し不幸は単にそればかりでなかった。花嫁の容態はその後脳脊髄膜炎と変じて、約一ヶ月の後平熱にかえったが、脳を冒されて白痴のようになってしまった。又、良雄の右眼の傷は意外にも重性の炎症を起し、早く剔出すればよかったものを、手遅れのために交感性眼炎を発し左眼も同様の炎症にかかり、遂に両眼とも失明するのやむなきに至ったのである。

自分で蒔いた種は自分で刈らねばならない。良雄は遂々自分の両眼をもって自分の罪をあがなったが、自分の罪が、無辜な花嫁にまで及んだことを思うと、今更ながら自分のあさ子に対する行為が後悔された。