Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

ふと気がついて見ると、今迄ぼそぼそ話しをして居た三人の声が聞えなくなって、あたりは気味の悪いほど静かになったので、何事が起ったのかと顔をあげて見ると、三人は、「金毘羅大神」と書いた額の真下に立ちながら、恰も飛行機の宙返りでも見て居るかのように、額の一点を見つめて居た。

私も立ち上って三人の傍へ近より乍ら、額の文字をながめた。

ああその時の私の驚き! 私はまるで全身の神経が一本一本抜け去ったかのように覚えた。「金毘羅大神」の大の字が、不思議にも犬の字に変って、而も大の字を犬の字たらしめて居る「丶」こそは、まがう方なき、どす黒い血痕ではないか。思えば、あの時、私が彼女の額に鏝を打ち下した途端に、たった一滴だけ血が飛んで大の字の傍らに附着したのを、私はうっかり見逃がしてしまったのである。

私はうーんと一声うめいて、その場に気絶した。