Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
佳節の客もみな帰って、梁中書は蔡夫人と二人きりで、やっと私室にくつろいだ。そして夫人の杯に、菖蒲酒を注いでやりながら、
「どうも、こう忙しい重職になると、めったに、そなたの笑顔を見ることもできんなあ」
と、わざと妻のよろこびそうなことをいった。
蔡夫人は艶な姿態のうちに、つんと、いつものお実家自慢を匂わせて、
「でも、こんな栄誉と福貴は、万人の羨むものではございませんか。勿体ない」
「とんでもない。愚痴をこぼしたわけではないよ。それどころか、そなたの父、蔡大臣のお引立ては、夢寐の間にも、忘れてはおらん」
「そういえば、あなた、やがてもう、父君の誕生日も間近でございますよ。お忘れですの」
「なんの、忘れてなろうか。岳父のお誕生日、七月十五日。ことしこそは、去年のような失敗をせぬようにと、内々心をくだいておる」
「去年はまあ、とんでもない抜かりでしたわね。お父君のお祝にと、あんなにまで、おびただしい金銀珠玉を東京へ送らせてやったのに、その途中で群盗のため、すべて強奪されてしまったことではございませんか」
まるで良人の落度でも責めるように、蔡夫人の眸が、耳輪の瑠璃より細い鋭い光で、梁中書の横顔を射ていた。