Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans

Aozora Bunko

景陽岡の虎、武松を英雄の輿に祭り上げること

近来、巨虎、峠ニ現ワレ、頻々トシテ人命ニ害ヲナス。官民、捕殺ニ力ヲ協スト雖モ、虎爪血ニ飽カズ、惨害日ニ増スノミナリ。単身ノ旅ハ慎ミ、近辺ノ民モソレ心セヨ

陽穀県告示

「なあるほど! ……。こいつあまずい、すこし背すじが涼しくなってきやがったぞ」

しかし、ままよといった風な武松の姿である。或いは酔中朦朧の一興と逆に愉しんでいたことかもわからない。

とっぷり暮れた。峠も三合目あたりである。虎の眸のごとき半月が脚下の谷にあった。なお酔いはある。足が気だるい。

「……虎よりは、こんなとき、また瘧が起らなけれやいいが」

やっと頂に近づいた。と見る、疎林の中の杣道に、青い巨大な平石がある。武松は笠をぬいで仰向けに転がった。寝るつもりでもなかったが酔余の快さ、いつかすっかり寝こんでしまったものである。

どこからか映す半月の月光は、この巨漢の姿と凜たる相貌を、石の表に陽刻した一個の武人像のように露めかせていた。年は二十六、七を出ず、唇朱く、はややちぢれ気味、閉じてはいても眼は不敵なものを蔵し、はやくも雷のごとき高いびき。

――まさにこれもまた、かりの地上に宿命して、清河県の市井に一侠児として生れた、百八星中の一つのまがつ星の性なるものにちがいあるまい。