Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
「あれほどの店を貸したんだから、証人があるだろう」
「それが、その、江戸へ出たばかりで、知合がないからというお話で、そのかわり敷金を半年分九両入れました。――もっともそれは昨夜お返し申しましたが」
「それにしちゃお年玉の手拭を誂えたのは可笑しいな。暮の二十五日じゃ間にあわねえはずだ」
「へーエ?」
独り言ともなく、言った平次の言葉、主人の総七も何やらピンと来た様子です。
「なんか書いたものはないだろうか、請取とか、名札とか?」
「生憎なんにもございません」
これでは取付く島もありません。平次もしばらくは、煙草の烟を輪に吹くばかり。
「それじゃ、あの店を私に貸してはくれまいか」
平次は大変なことを言い出しました。
「それはもう、親分さんの御用とおっしゃれば、決して否応は申しません。が、生憎『さざなみ』が、立退くと入れ違いに、借手が付いてしまいました」
「はて? どこの何という人だえ」
「何でも、古道具の糶屋さんだそうで、五日にはきっと越して来るからと、手金まで置いて行きました」
「ちょいと、その手金を見せて貰おうか」
「ヘエ――」
主人は帳場格子の中で、何やらガチャガチャさせると、四両二分の金を持って来て、平次の前に並べます。