Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
五
噂をすれば影で、戸口へ来たのは真砂町の売出し、喜三郎が立っていたのでした。
「あッ、しまった」
八五郎は尻尾を巻いて逃げ出そうとしましたが、その時早く、お静に案内された喜三郎は、ニヤリニヤリと笑いながら入って来たのです。
狭い住居、もとより先刻の威勢の良い啖呵が、門口に立っていた喜三郎に聞えなかったはずはありません。
五
「今までの経緯は、八五郎兄哥から聞きなすったろう。証拠が山ほどあるし、お駒を殺すほど怨んでるのは、新吉の外にはないはずだが、困ったことに、お駒の殺された時刻は、酒と花合せに夢中で、新吉は小用にも立たないと解っているんだ」
「…………」
深々と腕を組んだ平次を前に、喜三郎はこう語り進みました。
「それだけなら、外の下手人を捜せばいいわけだが、もう一つ困ったことがあるんだ」
「…………」
「新吉が殺すはずはないと解って、帰そうとすると、――実はお駒を殺したのはこの私で――と新吉本人が言い出したんだ」
「ヘエ――、それは面白いな」
銭形平次の頬はようやく綻びました。
「俺にはどうも面白いとは思えねえ。最初殺した覚えはないと言ったが、本所の友達の家から一と足も出ないと解ると、殺したのは俺だと言い出しあがる。