Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
八
「黙って跟いて来るがいい、そんなに遠いはずはない」
平次はいきなり、あさり店の裏から、御小人屋敷、定火消御役屋敷の方へ行きました。
塀の下、石垣の崩れ、積んだ材木の隙間を見て行くうちに、
「この辺だ、甚助は家から持出した香炉をこの辺に隠して空手で古道具屋へ行ったに違いない」
平次は独り言を言いながら、狭い路地の中の、とある石垣の崩れへ手を差し込みました。人目に付かないところ、子供の手の届かないところ、泥や下水に汚されないところというとなるほど、大人の背の高さほどの、石垣の崩れた穴が一番恰好な隠し場所です。
「あッ」
平次は思わず声を立てました。引出した手には、山吹色の小判が二三十枚、そのいずれも、検印のない品ばかりではありませんか。
八
上根岸の喜六の葬式へ行っていた古道具屋の与次郎は、その日の夕刻、上野の鐘が六つ(六時)を打つと一緒に、大変な使いを受取りました。
「本郷の与次郎さんは居ますか、――大、大変な事が――」
息を切って飛込んだのは、顔見知りの町内の若い者です。
「お、町内の方、何が起ったんで!」
葬いの跡片付けを手伝っていた与次郎が顔を出すと、