Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
「ヘエ――」
八五郎を出してやると、平次はまた帳場に脂下がります。
新店のせいか、客は一向来ません。――いや、新店でも元の『さざなみ』はあんなに客が立て混んだのです。今度は一体何としたことでしょう。
「入らっしゃい」
「許せよ」
ズイと入って来たのは、虚無僧が二人。
「どうぞお通りを」
「遅れて心配いたした。元日という約束であったが、箱根の関所で手間取って、今日ようやく江戸へ入った始末じゃ」
何が何やら解りません。
「御苦労様で――さア、どうぞ二階へ、お通り下さいまし」
平次は一生懸命でした。が、天蓋の中の顔は、見る工夫もありません。
「手形はこれだ」
「ヘエ――確かに頂戴いたします」
小さく畳んだ紙片、平次は押し戴くように懐中へ入れます。
「許せよ」
二人の虚無僧は天蓋を冠ったまま、静かに階子段を踏んで二階へ昇りました。
平次はその後ろ姿を見送ってそっと紙片を開きました。中には月日と仮名と数字ばかり。
二月十八日 (ウ)三五八
四月 六日 (サ)一〇〇
同 二十九日(カ) 一〇
七月二十八日(サ) 八
九月十七日 (ス) 六五
十月 七日 (ハ) 六
以上七項が書いてあるのです。