Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
七
気の弱い新吉は、自分の臆病さを責めながらも、不在証明を拵えずにはいられなかったのでしょう。
後で兄に疑いが掛りそうなのをみて、急にお駒殺しが自分の仕業だと言い張ったのは、兄に対する自分の腑甲斐なさの申訳でもあったのです。
「…………」
平次も喜三郎も、笹野新三郎も、何にも言いませんでした。この様子では、新吉はまだ許されるか許されないか、見当も付かなかったのです。
七
疑いは当然継母のお仙の方に向いました。
恐ろしく丁寧な家探しを繰り返しましたが、しかし、何にも新しい証拠は出てきたわけではありません。
お仙は思いのほか心掛けの良い女だという証拠と、お仙の連れ子の定吉が、妹分のお駒に懸想して、蚯蚓ののたくったような手紙を書いて、人の悪いお駒に翻弄されていたことが判ったくらいのものでした。
「お神さん、明神様へは、定吉と一緒に行ったんだね」
「ハイ」
番所に呼出されたお仙は、何の思い煩う様子もなく神妙に答えます。
「時刻は?」
これは喜三郎でした。
「家を出たのは戌刻(八時)頃、近いところですからブラブラ行って、亥刻(十時)ぎりぎりに帰って参りました」
「定吉と離れたことはなかったのか」