Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
だが、首が無くなるよりはそれでも益だろう。妹の敵を討った気で済ましていては天道様の罰が当るぞ」
「親分さん」
「泣かなくたっていい、――女巾着切とか、何とか、御法の裏をくぐる稼業をするなら、この平次が承知しない、――解ったかい、爺さん」
「…………」
「お前からよく下手人にそう言って、明日にも決心のほどを俺に見せてくれるがいい」
「親分さん、有難うございます」
老爺はヘタヘタと土間に崩折れて、子供のように声を立てて泣き出しました。入口から射し入る青白い月、何やら鳥のようなものが、その先をサッと障ります。
「さア、帰ろうか、八」
平次は立上がりました。
「いいんですかい、親分」
「いいとも、この上の事は神様がして下さるよ」
二人は肩を組むように、狭い戸口を出て、月の光を踏みながら、江戸の方へ辿りました。次第に夜の朧の中に消え込む二人の後ろ姿を、老爺の藁屋の前に見送る二つの影がありました。
一つは泣き濡れた老爺、一つは、匂うばかりの若い女。
平次はこうして、また一つの手柄をフイにしてしまったのです。