Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
九
胸に犇と抱いたのは女物の片袖。
「おや?」
驚く平次。
「見覚えがありますよ、それはお徳の袷で」
ガラッ八も愕然とした様子です。
「深い仔細がありそうだ、鎌倉町へ行ってみようか」
死体の始末を町役人に任せて、平次とガラッ八は鎌倉町へ飛びました。
お徳に逢って訊いてみると、
「そんな馬鹿なことがあるものですか、私の袷はこの通り――」
と奥から出して来たのを見ると、片袖は見事に千切られているではありませんか。
「あッ」
お徳はあまりの事に口もきけません。
「気の毒だが番所まで来て貰おうか」
平次は日頃にもない容捨のならぬ顔を見せます。
「娘がお勘坊を殺した? 冗談だろう、そんな馬鹿なことがあってたまるものか」
源太郎老人はプンプンして飛出しましたが、動きの取れぬ証拠を突付けられては、さすがにグウとも言えません。
九
番所へ――と言った平次は、お徳をつれて真っ直ぐに家へ帰りました。
「心配することはないよ。こうしなきゃア、本当の下手人が出ないんだ、しばらくの辛棒だ」
平次は家へ帰ると、日頃の平次に返って、こんな事を言っております。
「本当に下手人が出るでしょうか、親分」