Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
三
「いやこれは人手に掛ったに違いありません。一番卑怯な殺し方ですよ」
「…………」
「下手人は後ろから坊っちゃんの顔を半纏か襟巻で包んで、後ろ向きに背負ったものでしょう」
「後ろ向きに?」
「背中合せに、顔を包んで背負われると、小さい非力な者ではどうすることも出来ません。坊っちゃんは、下手人の背中で、声も立てず、身動きもならずに死んでしまったことでしょう」
「…………」
あまりの恐ろしい想像に、みんなは息を呑んで聞入るばかりです。
「口を開いて、眼が飛出しておりますが、首には縄の痕も、爪の痕もありません。身体にも何の傷も無いところをみると――」
平次もこの恐ろしい想像の飛躍に、思わず口を緘みました。
三
「銭形の親分、――二三日前妙な泥棒が入って、煙草入を置いて行きましたが、それとこれは関係はないでしょうか」
主人の又兵衛は先刻から、それを言い出そうとしていたのです。
「あるかも知れません。煙草入は八五郎に貸して下すったのを、私も見せてもらいましたが――あれはここに居る人がみんな知っているでしょうか」
平次は一座の顔を見渡しました。馬場要夫妻、丁子屋茂三郎、養い娘のお富、その許嫁者の佐吉、あとは婆やのお沢と番頭の才助と、主人の又兵衛と平次だけです。