Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
これならばまだ若くもあり、油屋の佐吉と許婚者の間柄と言っても、まだ祝言したわけではないのですから、河内屋へ戻って戻れないことはなかったのです。
河内屋の大身代は、こうして、お富の方へ転がりそうになって来ました。
「親分、河内屋の下手人は挙がりませんか」
ガラッ八がそう言って来たのは、事件があってから十二三日も経ってからの事でした。
「今度ばかりは見当もつかねえ」
「驚いたなア、――あっしにはたった一人心当りがあるんだが」
ガラッ八は少しもじもじしております。
「誰が怪しいんだ、言ってみな」
「油屋の佐吉ですよ」
「フーム」
「お富はすっかり上気ているから、河内屋へ帰るにしても、佐吉と一緒でなきゃ嫌だって言うに決っていますよ。油屋は派手にはやっているが、内輪は火の車だ。河内屋へ乗込むとなれば、あんな世帯は猫の子にやっても惜しくはありませんぜ」
ガラッ八の鼻のよさ、――平次は大きくうなずきました。
「それも幾度も考えた、――が、あの時は河内屋の身代はお富より姉のお米の方へ行きそうだった」
「だから馬場要を疑わせるように――」
「それも理窟だが、佐吉は、あの晩ほんのちょっと、隣の宗七のところへ行ったきり外へは出なかったはずだ」