Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
頬の堅さがほぐれて、自分の端たない様子を恥じるように前褄を合せたりしました。
「どんな事があったのだえ――気分が落着いたら、聴かして貰おうじゃないか」
平次の調子は、年にも柄にも似ず、老成なものでした。
「あの、大変なことになりました」
「大変?」
「父が死にました」
こう言った娘は、張り詰めた気が緩んだものか、いきなりシクシク泣き出しました。
「ただ死んだのではあるまい。――自殺したとか、殺されたとか」
娘の着物に目立たぬほどに付いた血を、平次は見ているのです。
「遺書もありますし、誰も人のいない部屋で死んでいたんですから、自殺に違いない――とお絹さんも近所の衆も言いますが、私にはどうも腑に落ちないことばかりで――」
娘は思いの外確り者らしく、次第に納まる興奮と激動の下から、智的なものが閃きます。
「で、お前さんは?」
平次はまだ、この娘の名も聴かずにいたのでした。
「あッ、ついあの――」若い処女らしく始めて真っ赤になった娘は、「あの、研屋五兵衛の娘糸と申します」――そう言って縁側に手を突きました。
「御徒士町の――なるほどそうか。親御の五兵衛さんがどうしたんだ。