Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
裏の物置から持って来た九つ梯子を雨落ちに据えると、一番上はちょうど雨戸の欄間に届きます。
それを登った平次は、黙って調べておりましたが、しばらくすると、一人で呑込んだまま降りて来ました。
「何か変ったことがありましたか、親分さん」
支配人の庄八の心許ない顔を見ながら、平次は静かに言い切ります。
「大変な奴だ、――棒一本で塀を越した上、離屋の庇に登って、忍返しを除け除けここまで来ると、欄間をコジ開けて音も立てずに入るのは――」
「泥棒が外から入って、香炉を置いて行ったのだろうか、親分」
主人の金兵衛もさすがに仰天した様子です。
「こんな芸当の出来るのは誰だろう、――棒一本で、どんなところへも忍び込むのは?」
平次は委細構わず首を捻っております。多勢の悪者を手掛けて、捕物の名人と言われた平次ですが、こんな恐ろしい人間のあることをまだ聴いたこともありません。
平次の首はどう捻ろうと、香炉が出てきた上は、もう問題も何にもありません。支度の出来たのをきっかけに、主人の金兵衛は庄八を伴につれて、香炉を大名へ返しに出かけ、早春の庭先には、平次とガラッ八と、甚助とだけが取残されました。