Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
「番頭さん、こんなことの出来るのは誰だろう、見当は付かないかね」
「解りませんよ、親分さん」
甚助は少し不機嫌でした。
「実はね、番頭さん、こんな細工を見る前までは、曲者は外に居るに相違ないと思ったが、これを見て少しばかり、考えが変ったよ」
「へェ――それはどういうわけで? 親分」
「外から香炉を戻しに入った曲者なら、最初塀を乗越して入る時から、棒が入用だったはずだ。こんな締りの厳重な家へ、音も立てず道具も無しに入った程の曲者なら、帰る時だって棒なんか要らないはずじゃないか。わざわざ裏庭にあった植木の突っかい棒で塀を乗越して、その棒を外へ――これで出ました――と言わぬばかりに置いて行くのは可怪しいじゃないか」
「…………」
平次の慧眼は、妙なところまで見透します。
「これは内に居る者が、外から曲者が入ったように見せかけるために、棒を使って、つまらない細工をしたのさ。棒を外へ投り出して、開けておいた木戸から入って、後を締めておきさえすればよいわけだから」
「なァるほどね」
ガラッ八は長い顎を撫でております。
「この家の中に、棒一本で庇へ登って、欄間を鼠のように渡れる、恐ろしい人間が居るに相違ない、――江戸ではそんな悪者の話は聴いた事がないから、多分他国から流れ込んだ、兇状持の仕業だろう」