Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
は結構な主人ではなかったのです。
果して、義父丹後守の歿後は、御小姓組御番頭と役付にはなりましたが、一面、丹後守の娘で、自分とは従兄妹の間柄なる本妻の綾野を嫌い、とうとう一年経たないうちに、柳橋芸者のお勝を、奉公人名義で妾にいれ、それを鍾愛するの余り、本妻の綾野を瘋狂と称して、土蔵に押込めてしまいました。
そんな悪法を書いたのは、丹之丞の遠い従弟で、安御家人崩れの針目正三郎、これはお猿のような感じの、肉体的に見る影もない人間ですが、悪智恵にかけては、人の十倍も働きのある男。常に丹之丞とお勝を煽動して、レールへ乗せない工夫ばかりしているのでした。
当主丹之丞にとって、用人の石田清左衛門はこの上もなく煙たい存在には相違ありませんが、この人間が居ないと公儀のあしらいが違って来ますから、安倍家が立ち行きません。妾のお勝や、掛り人の針目正三郎では、どんなに石田清左衛門を邪魔にしたところで、東照宮御声掛りの石田帯刀を祖先に持ち、先代の愛臣――用人とは言いながらも、公儀に知られた名士石田清左衛門に、指一本かけることも出来なかったのでした。
安倍丹之丞が、上の御用で駿府に行ったのは半歳前、江戸を出発しようという時、さすがに、悪智恵の逞しい従弟や、妾のお勝に任せておくのは不安だったものか、家康公の御墨付一封と、これも拝領