Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
銭形平次捕物控
一
一
「親分、変な野郎が来ましたぜ」
ガラッ八の八五郎は、モモンガアみたいな顔をして見せました。秋の日の昼下がり、平次は若い癖に御用の隙の閑寂な半日を楽しんでいる折柄でした。
「変な野郎てえ物の言いようはあるかい。お客様に違いあるまい」
「そう言えばその通りですが、全く変ですぜ、親分」
「手前よりも変か」
「へッ」
ガラッ八は見事に敗北しました。
「なんて方なんだ。取次なら取次らしく、口上を聞いて来い」
「それが言わないから変じゃありませんか。名前は申上げられませんが、私のために一生の大事、どうぞ親分さんの智恵を貸して下さい――とこうなんで」
「男だろうな」
平次は妙な事を訊きました。
「大丈夫『猫の子の敵』じゃありません。へッへッ」
ガラッ八が思い出し笑いをしたのも無理のないことでした。二三日前町内の女隠居が「寵愛の猫の子が殺されたから、下手人を捜して敵を討って下さい」と気違いのようになって飛込んだのを知っていたのです。
八五郎の案内につれて、狭い家の中に通されたのは、町人風の若い男が二人。
「…………」
先に立った一人の顔を見ただけで、平次は危うく声を立てるところでした。