Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
六
六
「あッ、陽が流しへ射した、お神さん」
三畳に頑張っていたガラッ八は、いきなり飛上がりました。その時はもう、射していた陽はスーッと消えて、元の薄明るい流しになっているのでした。三畳から飛出してみると、流しの上の天窓にほんの少しばかり、申刻頃の陽が当って、油障子の一部を、カッと燃えるように明るくしているのでした。
「八、陽が入ったか」
不意に後ろから肩を叩く者があります。
「おや、親分」
「よしよし、お前の開けっ放しの面が、陽が流しへ射したと言っているよ――今度はお才に逢ってみよう。来い」
平次とガラッ八はまだ番所へ預けたままになっているお才のところへ駆けつけました。
「おや銭形の兄哥。またこの市蔵に鼻を明かさせる積りかい」
五十男の市蔵、――少し頑固で、顔の古さを唯一の誇りにしている市蔵――には何となくひがみがありました。
「そんなわけじゃありませんが、二合半坂の親分、下手人は猿のように身軽で、恐ろしく腕の出来た野郎のように思うが、どんなものでしょう」
平次はいつものように下手に出ました。
「ハテネ、そんな野郎というと丑松の外にはないようだが――」
「とにかく、女や子供じゃありませんぜ、――ちょいと、そのお才に訊いてみたいことがあるんですが」