Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
九
もっともそっと引返して、塀の外から見張っていて貰いたいんだ」
「いいとも」
二人は打合せると、
「サア、これから家探しだ。天井裏から、床下まで、目の届かない隈があっちゃならねえ。押入も、戸棚も、奉公人の荷物も、みんな探すんだ。目当ては、お吉を殺した匕首と、主人を殺した毒薬だ、――他の物には目をかけるに及ばねえ」
平次が号令すると、三十人ばかりの人数、一斉に動き出して、およそ気の長い家探しを始めました。
それが半日、日が暮れて、灯がなくては何にも見えなくなると、平次と兼吉は、疲れ果てた人数を庭へ集めて、
「どうも御苦労、これだけ探して見当らなきゃア、この家に隠しておかなかったんだろう。一人残らず帰って休んでくれ」
兼吉に言われて、文句を言うわけにも行かず、銘々脹れ返って店から、裏口から、暗くなった下目黒の往来へ出て行きました。
九
「これで切上げだ。下手人はとうとう解らないが、いずれ閻魔様が見付けて下さるだろう。最後の思い出に、二人で見て廻るとしようか、目黒の兄哥」
平次はおっくうそうに立上がりました。
「無駄だろうよ、銭形の」
「無駄は解っているが念のためだ、――番頭さん、御新造さん、案内して貰いましょうか、釜吉も一緒に来てくれ、疑いのかからなかったのはお前ばかりだ、人徳があるんだね」