Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
四
平次は庭に降りると、足跡を辿って、生垣の側まで行きました。
「誰だか解るか、平次」
と縁側から笹野新三郎。
「庭下駄は殺された主人ですよ。――まだ物の芽も何にもない畑へ入らないように、用心して歩いているのは、この畑を作った人でなきゃなりません」
昨夜のような闇の濃い晩にも、空っぽの畑を踏まないようにして通るのは、畑に対して特別の愛情を持ったものでなければならなかったでしょう。
「跣足のは?」
と新三郎。
「ここへ来いッ、藤助」
平次はそれに応えず、いきなり下男の藤助を呼付けると、その手を取ってグイグイと引きました。
「親分、何をなさるんで?」
「跣足になれ」
「…………」
「ならないか、野郎ッ」
「へ――」
「この足跡の側へ、手前の新しい足跡を付けるんだ。――馬鹿野郎、右だ、左じゃねえ」
平次は峻烈でした。藤助の襟髪を掴んで、古い足跡に並べて付けさした足跡は、大きさも形も、何もかも符節を合せるように同じものだったのです。
四
「あッ、この生垣の濡れているのは、どうしたわけだ」
鼓の源吉は気が付きました。
「濡れているのはそこだけだ。――懐紙でその辺の木の葉を拭いてみるがいい」