Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
「…………」
二人は固唾を呑みました。
「曲者は自分には疑いは少しも掛らないと思った、――その上、松五郎は腹を立てて、新助を殺すと言って騒いだ、――曲者はそれを聞くと、恋敵の新助もやっつける気になり、お通夜に来るのを木戸口で待ち受け、松五郎の植木鋏で突き殺した、――それだけにしておけばいいのを、人間が器用なばかりに、余計な細工をしたのだよ。寮の下男部屋から浅草紙を持出し、変な字を書いて、松五郎の仕業と思わせようとしたのが悪かった」
「だがあの字は拙かったぜ、親分」
「左手で書いたのだよ、ハネるところに左癖がある、――それに左手で書いても巧い人の字はウマ味がある。名筆も悪筆も一つの癖だから左で書いても右で書いても大して手筋に違いのあるものじゃねえ、――それに下手は上手の真似が出来ないように、上手も下手の真似は出来ないものだ」
「なアる」
平次の説明は一点の疑いもありません。下手人は間違いもなく、残されたたった一人の人間を指しているのです。
*
「岡っ引奴――よく当ったよ」
「あッ」
木立の間から、ヌッと出て来たのは、浪人佐々村佐次郎のニヤリニヤリと笑う顔でした。