Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans

Aozora Bunko

平次はしかし、お礼の口から何ほどのことも引出せなかったのでした。父親が敵持だったことは夢にも知らず、ただ、武家が嫌になった父親が、かなりの貯蓄を町人に廻し、結構な利分を見て楽々と暮しているということを知っているだけです。

手習師匠の光川左門太は、三十五六の年にも恥じず、去年あたりから、執拗にお礼を後添えにと望んでおりました。藤枝蔵人は浪人同士で馬が合うものか、この左門太の一本調子な気風が好きで、お礼の思惑も構わず、嫁にやる話を決めてしまいそうで、まだ若くて世間を知らないお礼は、こればかりを苦労の種にしていた様子です。

佐々波金十郎は、左門太よりは腕も男も良く、浅草中の娘達の評判者でした。が、お礼に心ひかれる様子ながら、改めて口を切るでもなく、妙に遠慮深い日を送っておりました。なまじ岡場所の女どもに騒がれる金十郎の身持ちが、藤枝蔵人の気に入らなかったのかも知れません。

その他、貸借のことで関係の深いのは、藤枝蔵人の資本を廻して、その口銭を取っている佐野屋九助と、藤枝蔵人の金を二三百両も借り込んで、年中その利息に追われている伊勢屋玉吉ですが、この二人は藤枝蔵人をおびき出して、騙し討などに出来る腕を持っているはずもありません。