Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
七
立ち騒ぐ女達、船が廻廊の下に着いて、座敷の中に追い入れられると、ガラッ八は予て見定めた廊下の闇へ、ツイと身を隠してしまったのです。
七
「おや、お客様は?」
「たぶん御手洗でしょう」
「随分長いわねエ」
そんな噂をしている女達の声を聞いて、ガラッ八は物の蔭を拾いながら、奥へ奥へと入って行きました。
大方の見当はつきますが、ともすれば人に姿を見られそうで、なかなか思うような活動は出来ません。
さんざん迷った挙句、フト飛込んだのは、真っ暗な二階の納戸でした。左手から射して来るのは、唐紙の隙間をもれる細い細い光線、――そっと手をかけて唐紙を開けると、
「おや?」
年を老った女が一人、淋しそうにお仕事をしておりますが、ガラッ八の眼には、咄嗟の間にその素性が判りました。
「まア、八五郎」
「シッ、黙って、叔母さん」
八五郎は叔母さんの口を塞ぎたい心持でした。
「何だってこんな所へ来たんだい、早く帰っておくれ。私はおとなしくしているからいいが、お前の素姓が判ると命がないよ――」
「叔母さんを救い出しに来たんですよ、さア、早く、早く」
「だってお前、逃げる工夫なんかないよ」
「どんな事をしたって、叔母さんを助け出しますよ、さア」