Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
六
六
「あっしは平次ですが、――藤枝蔵人様が殺されたことは御存じでしょうな」
光川左門太に逢うと、平次はいきなりこんな調子で鎌をかけました。手習師匠と言っても、ほんのお長屋の子供達を集めるだけ、暮しも相当に困っているらしく、男一人の世帯は惨憺たる有様です。
主人の光川左門太はせいぜい三十五六でしょう。薄あばたの醜い男で、請合四十ぐらいには見えます。筆蹟もよく、四角な文字も読めるという噂ですが、武芸は大したことがないらしく、人に阿らぬ武骨さを買われて、界隈の評判はそんなに悪い方ではありません。
「それは知っている、ツイ近所に住んでいるのだもの」
左門太の答はぶっきらぼうでした。
「日頃は昵懇だったそうですが、――お葬いにもお出でがなかったようで――」
「それは俺の勝手だ。そんな事でかれこれ言われる筋はあるまい」
以ての外の左門太の機嫌です。
「それではちょっと見て頂きたいものがありますが、この手紙を光川様は御存じでしょうな」
平次は死骸の袂から出た果し状を見せました。
「…………」
「どうぞ、ありのままおっしゃって下さい」
「存じているどころではない。ありようは、この光川左門太が書いたのだ」