Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
三
これは二十七八の水の滴るような美しい女です。
先妻の死んだ当座は、後添えを世話する親類もありましたが、お妻に遠慮するともなく、そんな話も絶えて、今では祝言をしたわけではありませんが、浪花屋の世帯を結構切って廻すようになっております。
これはすべて、この後に起った大事件の後で、平次とガラッ八が調べ抜いたことですが、この日は一応引合せられて、お妻の抜群な綺麗さと、商売人上がりらしい取成しの巧さに感心しただけの事です。
三
「親分、た、大変」
翌る日の朝、――まだ薄暗い路地を鉄砲玉のように飛んで、平次の家の格子を叩いたものがあります。
「どなた?」
土竈の下を焚きつけていたお静が、姐さん冠りを取って顔を出します。
「浪花屋の釜吉でございます。大変なことが起りました、親分さんにすぐお出でを願います」
「釜吉さんか、どうしたんだ」
あまりの騒ぎに、平次も寝起きの顔を出しました。
「番頭の和助さんが殺されましたよ」
「えッ」
今度は平次の方が驚きました。
「その上、三千両は消えてなくなったんで」
「一緒に行こう、ちょいと待ってくんな」
平次は顔を洗っただけ、飯も食わずに飛出して、道々釜吉から、いろいろの話を引出しました。