Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
二
「いえ、そんなにまでされなくても――」
「そんなことで人一人――それもお前のような綺麗な娘の命を助けられるなら、俺も本望というものだ」
「暮に要る金はたった五両、わけがあって、私は知っております。手取り三十五両も入ったら、また博打の元手になることでしょう」
娘はやるせない姿でした。たった五両で死ぬ身が、我ながら疎ましかったのでしょう。
「五両ぐらいなら何とかなるだろう、俺の叔母の家はツイそこだ、来てみるがいい」
「でも――」
渋る娘の手を取るように、ガラッ八は叔母の家へ向いました。日頃ガラッ八の馬鹿馬鹿しさと純情さに打込んでいる独り者の叔母は、五両ぐらいのことは、何とかしてくれそうに思えたのです。
二
それから三日目。
ガラッ八の八五郎は、銭形平次の家へ久し振りでやって来ました。
が、格子へ手を掛けて、
「ハッ」
と身を退いたのも無理はありません。中から後光が射したように思ったのは、いつぞや両国橋で身投げを助けた娘が、平次と女房のお静に送られて、沓脱へ下り立ったところだったのです。
ガラッ八はあわてて飛退くと、庭木戸の蔭へ身を潜めました。あの晩のロマンスは、さすがに打明けそびれて、平次にも言わずにおりますが、秘し隠しにしていたガラッ八の身分を捜り当てて、娘がわざわざ礼に来たのでしょう。