Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
「御免よ、藤六は居るかい」
「あ、親分さん」
お春は飛んで出ました。続いて藤六。
「金の茶釜は見付かったよ」
「ヘエ――」
「その褒美の百両、――こいつは俺が取る筋の金じゃねえ。金の茶釜を品川沖で網に掛けた、お前の取る金だ」
「そ、それは嘘ですよ、親分。みんな増屋の細工で――」
「黙っていろ、増屋はあの金の茶釜を手に入れれば文句はないはずだ。この百両はお前が取って構わない金だ、文句を言う奴があったら、この平次が相手になる」
「…………」
「そのうち三十両は増屋へ返せ、――相手が悪いから、証文を取上げるのを忘れるんじゃないぜ」
「親分」
「いいってことよ。あとの七十両で、せめて雨戸のある家へ引っ越してよ、親孝行でもするがいい。もう見世物なんかへ出るんじゃないぞ、ハッハッハッ、泣いてやがる、大の男がみっともないぜ」
「…………」
そう言う平次の眼も濡れていました。
「それから、お春は増屋なんぞへ行くんじゃないぞ。その金のうちから袷の一枚も買って嫁に行く仕度でもするがいい」
「親分、こんなに頂いちゃ済みません」
「いや、親孝行の見世物に出た褒美だ。心配するな」
「親分」
藤六とお春は、砂の上にヘタヘタと崩折れて泣いておりました。