Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans

Aozora Bunko

綿帽子さえなかったら、お辰と間違えられるお六ではありませんが、女乞食にしては様子がいかにも華奢なのと、一言も口を利かなかったので、伊勢直へ連れ込むまで、誰も気が付かずにいたのでしょう。

それよりも重大な原因は、近頃の物騒な噂に怯えて、人間という人間が、あまりに緊張しきっていたために、思わぬ心理的欠陥に乗ぜられたのでしょう。なにしろ伊勢直は煮えくり返るような騒ぎ、せっかく宵から大目玉を剥いていた平次も、今度という今度は、すっかり面目玉を踏みつぶしてしまいました。

なおもお六を捉まえて、嚇かしたり、すかしたり、一と晩がかりで責め抜いてみると、「誰やら知らない人が来て、伊勢直の若旦那と添わせてやるからと言って、知らない家へ引摺り込んで、湯へ入れて、化粧をさせて、紋付を着せて、染物屋の裏口からそっと引入れた――」というだけは解りましたが、お六の足りない脳味噌は、問い詰められると混乱するばかりで、「誰やら」という人相も「引入れられた」という家も、まるで見当が付きません。

解ったことと言うと、お六の着ていた紋付や帯は、お辰の着ていた品と、色も柄もそっくりそのままというほどよく似ておりますが、実は、今までに誘拐された五人の花嫁の身に着けた品のうちから、お辰の嫁入り支度と似寄りの品を集めたもので、少し気を付けさえすれば