Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
「有難うございます、親分」
二人がそんな話をしているところへ、表から利助の子分が二人連れで帰って来ました。
「親分、変な噂を聞き込みましたよ」
「何だ?」
「両国の水よけに、緋縮緬の片袖が引掛っていたそうですよ」
「えッ」
「そればかりじゃありません。この二三日、鬱金色の扱帯だの、鹿の子絞りの下締だの、変なものが百本杭や永代へ流れ着くそうですよ」
「そいつは耳寄りな話だ、行ってみるか、八兄イ」
利助は立ち上がりました。
「参りましょう」
「お静さんを始め七人の花嫁は、どこか河岸っぷちの家にでも押し込められているに違えねえ」
それから間もなく、利助とガラッ八は、子分の者に軽舸を漕がせて、大川の右左を、上から下へ、下から上へと見廻り始めたことは言うまでもありません。
日はもうトップリ暮れて、筑波颪が、灰色の水を渡ってピューと吹き起ります。
ちょうどその時。
銭形の平次も一艘の軽舸を漕がせて、大川の上を見廻っておりました。これは、浜町河岸から駒形まで、両岸の人家には眼もくれずに、川の中に浮んでいる船にばかり目を付けております。
七人の美女を一と纏めにして、人目に付かぬように上方へ持って行くには、船より外に手段はないと睨んだのでしょう。