Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
平次の説明も行届きました。誰ももう口をきく者もありません。
「大黄はよく効いた。佐兵衛が厠へ立ったのを合図に、和助は予て用意した空っぽの千両箱を、石っころ入りの千両箱と換え、その場で主人の又左衛門を強請った」
「…………」
恐ろしい緊張、縁側に居並ぶ者は、皆んな固唾を呑みました。
「主人の又左衛門は、三千両の工面が出来ないばかりに、和助とお妻の仲まで大目に見ていたが、この場になっては、さすがに腹を据え兼ねた。――和助の頸筋に巻いた手拭に目が付くと、ツイそれに手を掛けて絞めるともなく絞めてしまった」
「それは違う、――とんでもない」
又左衛門は怫然として顔を挙げました。
「和助を殺してしまうと、大急ぎで元の千両箱の石っころを縁の下へブチまけ、それを土蔵の中へ返した。――千両箱の隠し場所には土蔵の中ほど良いところはない。土蔵の中にある千両箱が、上の三つ四つだけ埃のないのも、真新しい泥の付いているのもそのためだ。――佐兵衛に箱が減っていないか――と聞いたが、佐兵衛は一つも減っていないと言った。それで千両箱を土蔵へ返したと判った。でなきゃ、俺は千両箱を捜しに大川へ船を出したかも知れぬ」